【論文解説】ACS後の左室心尖部血栓にDOAC:WFと同等か?

Evaluation of the efficacy and safety of rivaroxaban compared to warfarin in patients with left ventricular apical thrombus: a randomized clinical trial
Thromb J.  2024 Jul 19;22(1):66.

この研究は、急性冠症候群(ACS)患者における左室心尖血栓(LVT)管理のために、リバーロキサバンの有効性と安全性をワルファリンと比較する初のランダム化臨床試験(RCT)の一つです。対象は、ACSで経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後、エコー検査でLVTが確認された患者です。52名の患者が無作為にワルファリン群とリバーロキサバン群に振り分けられ、経胸壁心エコーで治療前後の血栓の大きさと特性を評価しました。

主要な評価項目は、3か月後の血栓消失率であり、リバーロキサバン群は76.9%、ワルファリン群は69.2%と、統計的な有意差は認められませんでした。また、血栓の形態や移動性(不動、半可動、可動)についても、両群で有意な差は確認されませんでした。出血リスクや再入院率についても、リバーロキサバンはワルファリンと同等の安全性を示しました。

結果として、リバーロキサバンはワルファリンと同様に、LVTの管理において有効かつ安全であると結論付けられました。DOAC(直接経口抗凝固薬)の利便性や服薬アドヒアランスの向上が指摘されており、リバーロキサバンはワルファリンに代わる治療選択肢として有望であることが示されています。ただし、サンプルサイズの小ささや単一施設での研究であることが本研究の限界として挙げられ、今後はより大規模かつ多施設での研究が推奨されます​​。

◎方法
本研究は、無作為化対照介入・オープンラベルの試験です。患者は無作為にワルファリン群とリバーロキサバン群に分けられました。研究開始時と3か月後に経胸壁心エコー検査を実施し、血栓の面積(平方ミリメートル単位)を測定しました。血栓の形態は壁在性と円形に分類され、移動性は不動、半可動、可動に分類されました。また、出血や全身性塞栓症の発生、再入院、主要な心血管イベント(MACE)などの有害事象もモニタリングしました。

◎他の結果
意図された治療解析に52人の患者が含まれ、リバーロキサバン群とワルファリン群にそれぞれ26人ずつが割り当てられました。平均追跡期間は3か月でした。半可動または可動の血栓は全て不動に変化し、円形のLVTは両群ともに壁在性に変化しました。出血合併症や再入院について、両群で有意差はありませんでした。

発表後は以下のような内容で、討議が行われました。
・以前のRCTと違う点は何か?

文責 吉岡   発表者:中島先生

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