【論文解説】冠動脈狭窄・心筋虚血の診断と治療は、主要血管手術を受ける患者の生存率を改善するか?Diagnosis and treatment of ischemia-producing coronary stenoses improves 5-year survival of patients undergoing major vascular surgery

J Vasc Surg. 2024 Jul;80(1):240-248.
Diagnosis and treatment of ischemia-producing coronary stenoses improves 5-year survival of patients undergoing major vascular surgery

この論文は、無症状の冠動脈虚血(サイレント虚血)を持つ患者が主要な血管手術を受ける前に、冠動脈コンピュータ断層撮影(CTA)とフラクショナルフローリザーブ(FFRCT)による診断と術後の虚血部位にターゲットを絞った冠動脈血行再建術を行うことで、5年間の生存率を向上させる可能性を評価した研究です。

522人の無症候性冠動脈疾患(CAD)を持たない患者が対象で、CTAとFFRCTによる診断を受け、術後に冠動脈血行再建術を行ったグループ(FFRCT群、288人)と、通常の治療を受けた対照グループ(通常ケア群、234人)に分けられました。結果として、FFRCT群は通常ケア群と比較して、5年間の全死亡率(16% vs 36%)、心血管死率(4% vs 21%)、心筋梗塞(MI)の発生率(4% vs 24%)、主要心血管有害事象(MACE: 20% vs 47%)が有意に低下しました。

この研究は、無症候性CAD患者の術前診断と術後の冠動脈血行再建術が、心血管イベントのリスクを減少させ、長期的な生存率を改善する可能性を示しています。従来のガイドラインとは異なり、積極的な虚血診断と治療の重要性が強調されています。

発表後は以下の内容で討議されています。

・CAGのタイミング
・外科治療後の介入の内容
・重症のCLTIは含まれているのか?
・具体的な外科的介入の内容は?

文責 吉岡   発表 陳先生

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